脱プリアンプ,パワーアンプ内蔵化計画



MT9ピンのEL84ならばなんとか入りそうなのでテスト回路を組んでみた。
抵抗3本,コンデンサ2本,トランスをひとつバラックで組み立てた。

当初はリバーブドライバ用トランスを使ってみたが,容量が小さすぎて低音がなくなりだめだった。
そもそもEL84に40mA程度流すわけなので,無理がある。

OPTを物色した結果,春日無線のKA-54B57Tにした。
オリエントコアを使用した性能の良いトランスだ。
オーディオ用なのですっきりした音と予想していたが,やはりそうだった。
このアンプにはよく似合う。

DSC02581-2.jpg

OPT以外はすべて手持ちの部品でまかなうことができた。
いくつか不都合があり,特にリアパネルは大幅に追加工して穴をたくさんあけた。
放熱の意味もあるし,EL84の高さが12AX7よりも高いのでつかえてしまった。

OPTは内蔵できず・・リアパパネルに取り付けた。
電源トランスはもともと余力があったので,電源はほとんど無改造でOKだった。
12AX7のカソフォロバッファを取り去り,カソードバイアス用の抵抗を取り付け,ヒーター配線をやり直した。

都合3時間ほどの作業ですべての改造を終えることができた。

先ほど音を出してきたが「成功!」の一言に尽きる。

音量は十分,クリーンは艶やかで多極管ならではのプレゼンス豊かな音だ。
低音も十分に伸びているし,無駄に伸びている印象もなくちょうどよい。
弾力ある肉質でピッキングニュアンスをよく拾うのはA級シングルならではと思う。

もう少し調整や整理が必要なのですぐに貸し出しはできない模様・・・
サウンドサンプルも録りたいと思っています。

ちなみに,対応スピーカーは8Ωのみ,もちろんラインアウトも併設していて,スピーカーとライン同時使用もOKだし,
プリアンプとしてだけ使うこともできる。

うん,いいんじゃないかこれ。



いま,改造してます+POWER

このプリアンプの重大な欠点。それはプリアンプであること。

克服するためにパワーアンプを内蔵することにしました。

ということでただのプリアンプではなくなります・・・

Dr.ZのMINI ZやBADCATのMINI CATのように3W~5WのEL84を1本使ったA級シングルを組み込みます。

各社から小出力のコンボアンプが発売されているのですね・・・
FENDER,VHT,CARR,Gibson,FUCHS,LANY,Orange,VOX,Marshall・・・

5W出せれば練習用やレコーディング用には十分です。
もちろんパワーアンプに接続すれば大音量も可能です。

「ALL TUBE PREAMP + POWER」とでも名付けますか。。

改造にはしばらく時間がかかりそうなので,レンタルは中止です。

パワーアンプとの相性

自作ばかりやってきたお陰で,世の中の事情に疎くなってしまった。

最近のパワーアンプ事情を調べて,試して今更ながら分かってきたことがある。

きっと真空管アンプか,トランジスタアンプかまず悩むだろう。

ギターアンプに真空管がいまだに使われている理由。
暖かい音とか音楽的な歪みとかよく言うけど本当だろうか。

実は,真空管かトランジスタかといったデバイスの違いよりも大きな違いがある。

それはパワーアンプの特性のうち重要な数値のひとつであるダンピングファクタだ。

まれな例外を無視して要約すると真空管アンプはダンピングファクタが低く,トランジスタアンプは逆に高い。

ダンピングとはつまり制動力であり,アンプとスピーカーをどれだけ強く結びつけるか,を意味している。

同じ100Wのアンプでも真空管アンプは優しくおおらかにスピーカーを駆動するが,
トランジスタアンプは非常にタイトで強力にスピーカーを駆動する。

真空管アンプはスピーカーが自由に鳴ることからハイエンドの輝きがまし,ローエンドはルーズになる。

ダンピングファクタという電気的な特性の違いが,真空管アンプかトランジスタアンプかというデバイスの違いよりも大きな違いを生む。

例えば,オーディオ用の真空管アンプの中にはダンピングファクタが高いことを特徴としているアンプもある。
こういったオーディオ用のアンプでギター演奏するとつまらない音になるだろう。

逆に,トランジスタを使用したギターアンプでも故意にダンピングファクタを低下させて真空管アンプの感触を得ようしているモデルもある。

それでは,トランジスタアンプは絶対にギターアンプに向かないのだろうか?
ギター用のトランジスタアンプではダンピングファクタによるトーン変化に対して次の2通りのアプローチがある。

・イコライザーなどのトーンコントロールで似たような特性を作る
・ダンピングファクタを故意に低下させる回路にする

どちらかというと後者のほうが難易度が高く,制御が難しいため汎用性に欠ける。

前者はFractal+MATRIXが典型的な例だろう。
フラットな特性で使うとコモってて使えね~ってことになる。

ギター用のパワーアンプはプレゼンス回路の効果も合わせ,
先のダンピングファクタが低いことによるトレブルアップ効果があって典型的なエレキトーンとなる。

このALL TUBE PREAMPもパワーアンプの特性で大きくトーンが変わる。

トランジスタアンプで音色を作りこんできたが,やはり真空管のほうが気持ち良い。

裏ワザとして,特性の素直なトランジスタアンプを使う場合は
8Ω50Wなどのダミーロードに使われる抵抗をスピーカーと直列に接続すると
ダンピングファクタが下がり,真空管アンプのようにトレブルにメリハリがついたオープンなトーンになる。
もちろん,スピーカーに入る電力がロスするので,音圧自体は下がる。

高等テクニックなので誰でも実践できるわけではないが,実際にやってみたところ効果があった。

ということで,使用するパワーアンプは真空管アンプがよろしいと思われる。。
トランジスタアンプの場合はプレゼンスのコントロールくらいはないと本領を発揮できないと思う。。


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