自作の醍醐味は改造しながら音を作りこんでいくこと,これに尽きます。
もちろん音がよいだけではなく,使いやすさや壊れにくさを考えながら改造していきます。
実は電源トランスの容量がギリギリになのがわかり,焦って電流を減らしました。
今まではEL-84のカソード抵抗を220Ωとして40mA流していました。これを470Ωに交換することで25mAに抑えました。
これで最大出力は5Wから4Wに減ってしまいましたが,今回のコンセプトから考えて十分と思います。

また同時にカップリングコンデンサーを交換しました。
今まではオレンジドロップの0.22uFを使っていました。
低域がですぎることがわかっていたので,0.047uFに交換することにしました。
いくつかの手持ちのコンデンサの中からドイツ製のビンテージコンデンサを使ってみました。
フェンダーのにおいやマーシャルのにおいを含ませつつ,やはりボックスのにおいも入れておきたかったのです。
ドイツの電気安全規格「VDE」の文字がなんとも頼もしいです・・・
また,EL-84の管壁温度を測ったところ150℃を超えていました!
ここに配線材が接触すると危険なので遮熱板を立てて,配線はテープで留めておきました。
通常の製品ではテープ止めは嫌われますが,自作では問題ないばかりか,やり直しが簡単にできるので都合がよいのです。
しかし高温で融けたりベタベタなると困るので,人工衛星にも使われる耐熱性の良い超高級なカプトンテープを使用しました。

リアパネルはこのようになりました。
スピーカーアウト(8Ω)とラインアウトがあります。
あと,EL-84の頭がちょっとだけ飛び出るので金具を取り付けて保護しています。
と,ここまでの改造は昨日までに終わりました。
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今日はわざわざ会社を休んで大音量で音出しをしました。(嘘。たまたま連休)
クリーンチャンネルはボリューム最大で音量はちょうどよく,少しクランチする程度非常に弾きやすいです。
ODチャンネルとDISTチャンネルはボリューム3時くらいでかなりの大音量ですが,大音量の時に限ってギスギス感じがします。
そこでちょいと修正を行いました。
5極管やビーム管のような多極管でかつ負帰還をかけない場合,出力管がカットオフするほどドライブするとプレートに過渡的なリンギング波形が出ると言われています。これが耳につくようです。
対策としては高耐圧のダイオードを入れること,さらにコンジャンクティブフィルタ(Dr.Zはこう呼ぶ)を入れるとより抑制できます。
「Conjunctive Filter」とは仰々しい呼び名ですが,要はトランスの1次インピーダンスを整合させるスナバです。
このフィルタは由緒正しきRCAのハンドブックにも記載があります。こちらでは「Corrective Filter」と説明されています。
もう少し説明しますと・・・
トランスの1次側は漏洩インダクタンスによる共振があります。スピーカーのインピーダンス上昇も効いていきます。
多極管は内部抵抗が高いのでこの共振がダンピングされません。
共振の影響は負帰還でも緩和できますが,無帰還アンプでは望みが絶たれています。
そこで,CRをシリーズに接続したスナバを入れてやるとこの共振をダンプすることができ,ギスギスした刺さる成分を押さえることができるというわけです。
部品箱には耐圧3kVのダイオードと耐圧2kVのコンデンサがありましたので,早速取り付けてみると・・・
結果的にスムースで癖のないレスポンスが得られるようになりました。
嫌な音がしないということは音量を上げることができ,ピッキングニュアンスもよく出るようになります。
スナバーの値をどのように決めるかはどこかにメモしたのですが・・・
テキトーにやってみたところツボにはまりました。(これだから自作はやめられません)
クリーンもODもDISTもヘッドルームが十分にある大出力アンプのような懐の深さがでました。
小出力アンプを無理やりクランクアップした時のショボさやキツさは全くありません。
まあ,所詮出力4Wなのでバンドで合わせると音量は不足するかもしれませんが・・・
そんな状態で録音もしましたが,出来がよくないのでサウンドサンプルはまた明日・・・