トーンコンデンサーをチューン・アップ(BumbleBeeの秘密)



トーンコンデンサを変えてみました。気になるんです。なぜか。

例えばレスポールだと50年代のビンテージで使われていた,バンブルビー(BumbleBee)やブラックビューティー(BlackBeauty)が有名です。
どちらもスプラグ社(Sprague)の製品です。(OrangeDropやVitaminQもスプラグ社製です)
本物もまだ手に入りますが,エフェクターが買える位の値段がします。
しかも古いのでまともに使えるかどうかわかりません。
人気があるだけにレプリカも多く作られています。

最近のトピックスとしてはフェンダーもギブソンも自らのブランドでコンデンサーを販売していることです。
純正品でチューン・アップできると考えれば満足度は非常に高いわけです。

ところで,「改造」というと素人っぽく,完成度を下げるように感じますが,「チューン・アップ」というとなぜか価値が上がるような気がします。ということで今回は「チューン・アップ」を行うことにします(笑)ww

prs_tone_cap.jpg
PRS標準のコンデンサーはオレンジ色のセラミックコンデンサです。耐圧は25V。
ストラトならこれでOKといいたいところですが,これではさみしいのでアップグレードします。

実は今回重い腰上げたのには他にも理由があります。

レスポール用のコンデンサでググるとバンブルビーの分解写真が見つかります。
驚いたことに「Extended-Foil」という構造をしています。これは,いわゆる無誘導構造に相当するのです。
なんと1950年代にも関わらず現在の最新のコンデンサと何ら変わらない構造なのです。

いままでビンテージ・コンデンサは誘導成分が発生する巻き回し形なんだろうと勝手に思い込んでいました。
ビンテージなんだから性能がしょぼいんだろうと・・・

もう一点,P.I.O.(Paper in Oil)と呼ばれるオイルコンデンサーにオイルはほとんど入っていないことも知りませんでした。
オイルペーパーは「油紙」です。身近な例では「あぶら取り紙」に油がしみ込んで半透明になった状態です。
オイルにジャブ付けされている姿をイメージしていたのですが,分解写真を見るとオイルが満たされているわけではないのです。

もうひとつ大事な点がありました。フィルムコンデンサーは経年劣化で容量が増えることがあります。
そして,BumbleBeeやBlackBeautyも増加の傾向だということです。

いままでは容量が抜けることによって,例えば0.022uFが0.01uFになることによっておいしいトーンが出るのだろうと考えていました。しかし,むしろビンテージなフィルムコンデンサーは逆傾向で容量が増えることでトーンの効きがよくなる方向の変化だということです。

ということはあえて小さい容量を選ぶ必要もなく,劣化したコンデンサを使う必要もなく,普通にハイスペックなコンデンサを求めればいいという方向性で出てきて,がぜんやる気が出ました。



ちなみにの豆知識ですが,ビンテージコンデンサはGrey Tigerのような紙巻きでワックスモールド,BumbleBeeのような樹脂モールド,VitaminQのようなハーメチック・シールドというように外装で差別化されています。
もっとも劣化しやすいのがワックスモールド,続いて樹脂モールド,最も高性能な軍事用がハーメチック・シールドです。
ただし外観がどうあれ,音はどうかというとまた別のハナシですが。。

ただし,樹脂モールドであっても,古いものはリーク電流がひどく真空管アンプに使うとノイズでたり,動作点がずれたりします。

なお,最近のコンデンサを外観で分類するとWIMAのようなBOXタイプ,マスタードやトロピカル・フィッシュのような樹脂ディップ,SOZOのようなテープラップと区別できます。

入手についてですが,ハズレつかまされるリスクから,BumbleBeeの入手はあきらめています。しかも,BumbleBeeにも2種類あるのだとか。初期モノはVitaminQと同じオイルペーパーですが,途中でBlackBeautyと同じ「DIFILM」(ペーパーマイラー)になるそうです。
ペーパーマイラーは分解写真を見る限りはメタライズドペーパー(MP)コンのようです。
「DIFILM」はオレンジドロップへ継承されますが,それも今ではもう「DIFILM」ではないようです。





前置きが長くなりましたので最初の写真をもう一度・・・

そんなこんなでWebを物色するうちに,ロシアン・オイルコンデンサーの株が急上昇していることに気づきました。
どうやらBumbleBeeの置き換えにGoodのようです。これなら10年前に買ったデッドストックが手元にあります。

さらに新たに購入しなくても,部品箱には手ごろなコンデンサーがゴロゴロしていることに気づきました。。。

それが最初の写真です。

10種類以上試したと思います。かいつまんで感想を残しておきます・・・

やはり,トーン変化の9割は静電容量の大小できまる。(特にトーンを絞り切った状態では)

0.01uFはミッドブースト風。
0.015uFはちょうど良い感じ,ウーマントーンといわれる理由もうなずける。
0.022uFは少しこもるけど,一般的なトーンコントロールの感触。
0.047uFはもこもこ。音量もかなり下がる。

古いオイルコン,フィルムコンは静電容量が1.5倍くらいになることもある。
0.015uFが0.02uFになっていたり,0.022uFが0.03uFになっていたりする。

逆に古いセラミックコンデンサ0.02uFは0.01uFへ静電容量が減少していました。

ということで,今回は静電容量とDF(誘電正接)が測れる測定器とにらめっこしながらコンデンサー交換を行いました。
コンデンサーの静電容量を測りながら交換・比較しないと路頭に迷います。

以上の前提のもと,比較を進めますと・・・

オリジナルのセラコンはゴワゴワした違和感を感じます。

比較していく中で本命にしようとひそかに決めていたロシアンオイルコンは脱落。
雑味が気になります。高性能なものほど雑味が少なくてつるつるした印象です。

無理やりですが,布団に例えてみました・・・
・誘電正接が大きいコンデンサはゴリゴリした違和感を感じる,使い古した綿布団のような感じ
・元々ついてたセラミックはボワっとした感じ,安い羽毛布団のような感じ
・DFが少ないやつはシルクカバー付きの軽い羽根布団のようなふんわりした感触

最終的には東ドイツ製の0.022uF 250V~のMKPに落ち着きました。
西ドイツ製の0.015uF(ポリカ)も捨てがたかったですが,標準値0.022uFにしました。

mccarty_wiring2.jpg

ついでにワイアリングも少しいじりました。

さて,これも最近仕入れた豆知識ですが,レスポールの配線方法は「Vintage」と「Modern」の2種類あり,微妙に違います。
こだわる人はVintage配線にするようです。知りませんでした。本国では常識のようです。

Vintage配線にするとボリュームを絞ったときのこもりが緩和されるらしいです。ただし,トーンとボリュームを同時に絞った時のトーンの効きが変わるでしょう。(試してません)

ちなみに今回はModern配線です。

なお配線図には現れないのですが,いつもの癖でトーンポットの空き端子をグランドに落としています。
まあ,気持ちの問題ですが,空き端子はノイズ飛び込みの原因になります。

それからついでにコイルタップの回路を最新のMcCartyの回路にしました。
1.1kΩと2.2kΩを追加しています。ブリッジ側をコイルタップしたときにハムバッカーぽさが少し残り,元気になります。
抵抗は手持ちのカーボンコンプを使いました。

まだ弾きこんでいませんが,いい具合です(気持ち的に?)

関連リンク:McCartyの配線図,レスポールのビンテージ配線
https://www.prsguitars.com/csc/schematics.html
http://www.seymourduncan.com/blog/tips-and-tricks/lespaulwirin



へそくりを断捨離してギターをゲット


突然ですが,10年以上寝かせていたへそくりをはたいてギターを購入!!
なんてことないPRSが我が家にやってきました。なんとなく2000年以前のモノを探していましたが偶然97年製に出会うことができました。

さて,思い出すとPRSが気になり始めたのが学生時代なので,90年代後半です。
当時は中古はあまり流通してませんから,新品に50万も出せるはずがなく・・・
中古があっても20万以上してましたから・・・貧乏学生には高嶺の花でした。

そして社会人になって以来10年以上貯めてきたへそくりを断捨離して買ってしまいました。

やはりビンテージ・ギターが欲しいわけでなんですが,コレクターでもなく,ヘビープレイヤーでもなく。ウチのギター達は所詮アンプ製作の実験台にすぎないわけです。

とすると音の良いビンテージが欲しいわけなんですが,そんなモノがホイホイ手に入るわけではありません。フルオリジナルは当然のように高価なわけで手が届きません。リフィニッシュはまだしまもコンバージョンやネックだけビンテージなんていうことも妄想はしますが,それだけの情熱があるわけでもなく。。選別眼も知識も足りません。

やはり実験台としてTLも欲しいのですが,定番としてLPもあった方がいい。でもレスポールは好きじゃないんです。特にあのシングルカッタウェイのぶら下げっぷりが苦手です。重いし。

trs_cover.jpg

そこで,ハムバッカー搭載のレスポール系で質が良くて弾きやすいダブルカッタウェイとなるとPRSが候補になるわけです。しかし24フレットではネック側ピックアップの位置が違うわけで,ギブソン系の音は期待できません。

そんなこんなで色々調べていたら「McCarty Model」の存在を知りました。恥ずかしながら今まで知りませんでした。ギブソン社の社長を務めたテッド・マッカティーの名前を冠したモデルなんだそうです。レスポールやフライングVなどのソリッドボディ・ギターの生みの親だそうです。

それまで独自に高品質なギターづくりを研究してきたポール氏がテッド氏の助言を受け,ビンテージ・ギターに負けないギターを志して「McCarty Model」を市場投入したのが1994年のことだそうです。

常に革新的な完成度の高いギターを追求してきたPRSが90年代後半に急成長する中でよりトラディショナルなモデルにも幅を広げ,さらに知名度を上げることになったきっかけになったことは間違いないと思います。


どうしてもPRSというと派手なインレイやケバケバしいフレイムメイプルに嫌気する人もいるでしょう。

しかし,レギュラーモデルは飾り気がなく素っ気ないです。それでも所有していじってみて感じたことはポール氏は真面目にモノづくりを追求し,よいギターを広く世間に浸透させることを真剣に考えている人なんだということです。

つまり,派手なモデルは「客寄せパンダ」でしかなく,レギュラーモデルでもつくりに手抜きはなく,細かな部分にこだわりが詰まっているように思いました。伝統的なモノづくりではよく細部に神が宿るといいますが,まさにPRSのギターにも当てはまります。
加工精度や塗装の仕上げっぷりはもちろんですが,バインディングなどの木材同士の接合部やネジ穴の開け方にも丁寧な仕事を感じます。

べつにPRSをよいしょする気はないんですけど,今となってはギブソン,フェンダーに続く第3勢力であることに疑いの余地はありません。

さて,写真でみるとフレイムっぽく写りますが実際はそうでもありません。
実に素っ気ないメイプルトップです。
McCartyはCustom22と比較されがちですが,ボディ厚が3mm程度厚い,ヘッドの角度や厚さが異なる,ネックの仕込み角が異なる,ピックアップが異なる,コントロールも違う。そういった細かい違いの積み上げで差異化を図っているようです。ぱっと見は区別がつきません。

McCarty_head.jpg

そしてヘッドも実に素っ気ない。McCartyはペグがPRSオリジナルのロックキングタイプではなく,ごく普通のクルーソンタイプです。
あと,この写真でもうひとつ語りたいのが,ペグの位置です。弦がナット位置で左右に広がりません。ナットと直交しています。
ナット部分で弦に余計なテンションがかからずスムーズです。これがPRSのギター設計のひとつのキモと考えています。

最後にトラスロッドカバー自体も非常に簡素な作りです。そこに刻まれた「McCarty」の文字,なんだか手垢が詰まっているようですが,よく見ると金色の塗料が少しだけ残っています。

オリジナルを維持することに興味はないので,白い塗料を流し込み表面をヘアライン風に仕上げてみました。
これでだいぶ質感がアップしました。ヘッドは頭ですから顔でもあるわけでルックスとしては重要です。

あ,あとナットが純正ではありませんね。
表面がテカテカしていけてないので一度取り外して紙やすりで艶消しにしておきました。
PRSはナットにも相当のこだわりがあるようで,できればオリジナルにしたいと思っています。

ナットも非常に重要な部品です。そういえば2本目のストラトも新品で買ったその晩にナット交換しました。
普通ならメンテしてもらうところですが,自分でやった方がきれいに仕上がるので・・・ナットファイラーも持ってます。


購入時の状況や,弾いてみてもインプレッションとか,サウンドサンプルは今後のお楽しみです。

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MOGAMI 3368と日の出光機(HKM)の改造プラグを組み合わせたシールドケーブル

あけましておめでとうございます。所信表明もなく,たらたらやっていく所存です。

ギター用シールドケーブルのプラグというと,元祖的存在のスイッチクラフト,ノイトリックは新定番,日本製ではカナレ,新しめのブランドではG&Hなどが思い当ります。

気になる存在,日の出光機(HKM)のプラグを試してみたのは2016年のハナシ。
発売以来,惚れ込んでいるシールド・ケーブル,モガミの3368と組み合わせてみました。

ずーっと使ってきたスイッチクラフトのプラグを取り付けた3368と比較,,,HKMで音を出した瞬間ニンマリ。
スイッチクラフトに比べて明らかにクリアで張りがある。

一本目は色々と不都合な点を克服するのに苦労し,仕上がりはやや不満足。
納得できない部分もあり,もう一度再挑戦したのが今回のお話になります。



今回はより完成度を高めるためにプラグを加工してハンダ付け部分に工夫を加えました。
写真の左が所望の加工を行ったプラグ,右は失敗作・・・

芯線のハンダ付け部分にΦ1.5mmの穴をあけました。
ここに銅線を通してハンダ付けすることでより強固で完全にハンダ付けができると妄想。

なお,右側は穴あけに失敗して金具が折れてしまったので,苦肉の策として,中心に穴をあけてそこに銅線を差し込んでハンダ付けできるように加工したモノ。



失敗作を加工する際にHKMのプラグを分解したので参考までに写真を。。すると内部はこんな感じに。

部品は6つ。
・プラグ本体(スリーブ):素材は真鍮(黄銅)と思われる,強固なメッキがかかっている
・プラグの中心部分(TIP):素材は真鍮(黄銅),こちらもメッキされている(写真のネジ部分は失敗作,短く削った状態・・・)
・先端スペーサー:白い樹脂
・後部スペーサー:たぶんガラエポ,ハンダ付けの温度に負けない素材じゃないとだめなのでガラエポは正解
・ナット:真鍮
・熱収縮チューブ:絶縁用かな

熱収縮チューブの必要性はいかに。
いっけん不要に思うが,この部分は非常にデリケートなので取り除くとキンキンと音が響きすぎる可能性があります。
リジットに固めておくべきなのか,響きを生かすべきなのか難しい部分。

プラグは4本買ったので,失敗作はWhirlWindのAccusonic+1に使うことにしました。

普段はSwitchCraft+MOGAMI 3368か,ストラトについてきたWhirlWindのAccusonic+1を使っています。
どっちもどっちで個性があり,場面によって使いこなせばいいかと考えていましたが・・・

HKM+3368と,HKM+Accusonic+1(新たに購入)を比較してみると明らかに3368の方が好み。
(ちなみにAccusonic+1はBELDEN製とのことです)
こまった・・・むしろWhirlWind必要なし・・・という結果。

HKMのプラグは良い意味でシールドケーブルの素性を引き出す,というか,余計な濁りを加えないのだと思います。
だから,ケーブルの差がより分かりやすかったのではないでしょうか。
Mogami_3368_HKM_S101.jpg
Mogami_3368_HKM_S101_up.jpg

最後にHKM+3368のシールドケーブルを制作する際の注意点をまとめ。

モガミの3368をHKMのプラグに取り付ける場合,直径8ミリのケーブルを通すため,シェルの穴を拡大する加工が必要。
(最近は穴径が大きいモノも入手でき,そのまま使えます)

また,ハンダ付け部分が狭いので,シールド線の取り回しとはんだ付けにひと工夫いることを申し添えておきたい。

あと,プラグ表面のメッキが非常に強固なので,事前にプラグ側を十分に予熱して予備ハンダを念入りに。
予備ハンダはいったんキレイに取り除いてからケーブルの銅線をハンダ付けした方がよいと思います。

クロスロードを探す旅の途中,よい部品に出会うことは,何よりも頼もしい。。。



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